POINT.01
普通の冷蔵庫に入れるだけでは、時間が経つにつれてりんごのおいしさと食感は失われてしまいます。収穫後も、りんごは酸素を取り込んで二酸化炭素、水、熱を発散する「呼吸」をしているためです。呼吸は果肉の劣化の原因であり、常温に近いほど活発になります。また、りんごは成熟を促す植物ホルモンであるエチレンを多く分泌するため、過熟・腐敗しやすい果物と言えます。
そこでJA相馬村では、収穫後すぐに0度前後で冷蔵し、りんごの呼吸を抑えて鮮度を保っています。3月以降に出荷する長期貯蔵りんごはさらに低温で保管されています。氷温帯冷蔵技術により、庫内はりんごが凍る直前の-1.3℃、湿度90%以上に保たれているため、味や食感を損なわずに貯蔵することができます。
POINT.02
相馬村の場合、すべてのりんごを12月末までに収穫しますが、出荷は翌年の6月末まで続きます。旬の味をキープすることを可能にしているのが、庫内の酸素・二酸化炭素・窒素濃度、温度、湿度を調整するCA(Controlled Atmosphere:空気調整)貯蔵技術です。庫内は酸素濃度は1.8〜2.5%、二酸化炭素濃度1.5〜2.5%という低酸素・高二酸化炭素状態に保たれており、りんごの呼吸やエチレンの発生が極限まで抑えられています。
精密なコントロールを要するCA貯蔵設備の導入には、大掛かりな投資が必要です。JA相馬村では、20室のCA貯蔵庫を持ち、品種ごとに細かく条件を設定して貯蔵を行っています。これにより、翌年の6月末までもぎたての味を楽しんでいただけます。
POINT.03
スマートフレッシュ処理は、劣化の原因となるエチレンからりんごを守る新しい技術です。低分子炭素化合物である1 - メチルシクロプロペン(1-MCP)ガスを充満させた冷蔵庫内にりんごを24時間置いてから貯蔵することで、りんごの劣化を大幅に遅らせる効果があるとされています。エチレンに似た1-MCPが果実のエチレン受容体に結合することにより、エチレンの生理活性を阻害することができます。
1-MCPは植物成長調整剤の一種ですが、単純な炭素化合物であり環境にやさしく、気体で噴霧するためりんご本体への残留値は極めて低いです。日本を含む40か国以上で安全性が認められ、りんごのみならずトマト、キウイ、なし、アボカドなどの青果物の貯蔵に利用されています。
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